先日、Twitterのタイムラインにこんなツイートが流れてきました。
これ見たとき、ぼく思ったんですよね。
めっちゃわかるな、と。
このツイートをきっかけに久々に『寄生獣』を読みたくなりまして。
本棚にある1巻を軽い気持ちで読み始めたところ、ページをめくる手が止まらなくなりましてね。
テンポのよい展開に引き込まれてあっという間に読破しました。
初めて読んだのは小学生のとき。
それ以来何度となく読んでいるのに、大人になってから読むとまた違った感情が芽生えてきて新鮮に楽しめました。
まだ読んだことのない人よ、悪いことは言わない。こんなブログを読んでいる暇があるなら今すぐ近所のブックオフに走ってください。
千円ちょっとで、これから初めて寄生獣を読むという幸せな経験を買うことができます。
さて、未読の人はブックオフに向かったはずなので、ここからは全員読んだことのあるものとして印象的なシーンや感想を書いていきますね。
小学生だった僕にとって衝撃的だったのは、なんといっても数々のグロシーンです。
第1話で登場する有名な「ぱふぁ」のシーンでさっそく心を持っていかれました。
顔が「ファッ」と開いてバツン、ブシュッ。
怖すぎる。
こちらは新一の右手に寄生したミギーの初登場シーン。
その後ミギーが見せた数々の変形の中でも屈指のキモさを誇る造形。
当時、友達との間で「言葉…まだ少しできない…教えて…シンイチ…」という片言のミギーモノマネが流行りました。
変形といえばこちらもなかなか。
おちゃめなミギーさん。血管がリアルですね。
島田秀雄が学校で殺戮を行ったページには、軽いトラウマを植え付けられました。
脳やら腸やらが出ちゃってます…。凄惨という言葉では表現しきれません。
これは新一が島田秀雄を倒すために登ったビル。
シンプルすぎるデザインで有名になりました。
第5巻で登場したパラサイト・後藤。
初登場の暴力団事務所殲滅シーン。
平手で頭をパン。パンチで顔面をガッ。
素手で首をグボッ。手刀で3人まとめてズバン。
それまでのパラサイトのように頭を刃物状に変形させて戦うのではなく、素手のみの戦闘。
恐るべきパワー!
一つの体に5匹のパラサイトを寄生させているので、他のパラサイトのように首から下が弱点ということもありません。
初めて見たとき、これはとんでもない敵が現れたと戦慄したものです。
通常状態でも恐ろしいのに、本気を出して手足を変形させてきた後藤はさらに凶悪。
両腕をシュルシュルさせながら迫ってきます。
めちゃくちゃ俊敏なうえ、対向走行しているトラック同士の交差による激突の衝撃にも耐えるほどタフネス。
少々のダメージは、そのへんの人間を食べれば元通りに回復。
パラサイト・田村 玲子は頭が切れるため、後藤ほどではないにしろなかなかの強敵でした。
パラサイト・草野と繰り広げた頭脳戦では頭をカラッポにして走り回ります。
こんなの見たら「どっげ~~!!」言いますよね。
その田村 玲子と関わってしまったばかりに非業の死を遂げた人間がいました。
私立探偵の倉森というおじさん。
昔読んだとき、このおじさんのことが好きになれませんでした。
意気地なしで弱いくせに、自分勝手なことばっかり言うなよ。新一の気も知らないで。
そんな風に思っていました。
でも、自分がおじさんになったいま読んでわかったのは、守るべきものができた人間は弱いものだということ。
倉森が家族のために、分不相応な役割から身を引くことを決めた気持ちがよくわかります。
しかし時すでに遅し。
ちょっと出かけた隙に、パラサイト・草野によって奥さんと子どもを殺されてしまいます。
なんというむごい仕打ち…。あんまりです。
気が狂ってもおかしくない。
復讐を誓い田村 玲子の子どもを誘拐しますが、ただのおじさんが強敵田村にかなうはずもなく、あえなく返り討ちに。
倉森が死ぬ間際のシーン。彼のセリフがいいんです。
「人間が…人間の赤ん坊を殺すわけ ね…ねえだろ」
「陽子…由美…すまなかった…すぐいくよ…」
「赤ん坊を…殺さなくてよかっ…た…」
最愛の家族を殺されてなお、最後の最後まで「人間」らしかった倉森。なかなかこうはいられないでしょう。
子どもの頃はなんとも思わないシーンだったのに。今回読んでみて一番変わったのはこの倉森という男への印象でした。
倉森が残したレポートにより、市役所でのパラサイト大量駆逐作戦へと乗り出した人間たち。
自衛隊のほかに、人間とパラサイトを肉眼で見分けることができる死刑囚・浦上を連れていくことに。
浦上が犯した罪の描写もなかなかグロテスク。
完全なイカれサイコ野郎。
パラサイト大量駆逐作戦の最中、広川市長がぶった演説は見事なモノでした。
作品名の「寄生獣」という言葉が唯一出てくるシーン。
選挙演説とこの演説を合わせた広川の主張にこそ、作品のテーマが込められていることは明白です。
さすが市長、いいこと言うよなぁ。
市役所戦でしこたま銃弾を撃ち込んでも仕留めることができなかったラスボス後藤。
これまで幾多の戦闘を潜り抜けてきた新一とミギーも、この最強の敵には歯が立たず…。
ついに訪れたお別れのとき。死を覚悟したミギーが新一の背中に語りかける名シーン。
「友だちとして………いろいろな楽しい……思い出を……」
これを語っているのが人間だったらそこまで泣けないところですが、寄生生物として常に合理的な考えを貫いてきたミギーだからこそ、グッときちゃいます。
ミギーがこんな人間的な感情を持つ日がこようとは…うぅっ…。
皮肉にも人間が垂れ流した毒により、辛くも勝利をおさめた新一とミギーでした。
そして迎えた最終話。
ミギーが自ら永遠の眠りについて1年。
やっと訪れた平和な日々でしたが、イカれサイコ野郎・浦上の急襲により恋人である里美がビルから転落します。
とっさに手を伸ばすも間に合わず、悲しみに暮れる新一。
そこで現れたのがそう…
「いつもでもメソメソしてるんじゃない 疲れるから自分で持ちな」
ミギー!!!!
いやぁ本当にね、いい作品を読むと感情が揺さぶられるから心が疲れますね。
でもこの先の人生でも何回も読み返しちゃうんだろうなぁ。
そのたびにまた新しい感覚に出会えることでしょう。
女子高生が「塚原卜伝」とはなかなか突っ込まないよなぁとか、ね。