福岡出張の話 第4話

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福岡出張の話 第3話

福岡が生んだ大スター、博多華丸・大吉のお二人に会えるかもしれない。

そんな淡い期待とともに屋台「ともちゃん」に入店するも、そこに華丸・大吉のお二人の姿はなかった。

そりゃそうか。ふらっと寄って簡単に会えるようなお方ではないのだ。

気を取り直して、瓶ビールでカンパイ。

フードのオススメはおでんや和牛サガリ、それから串もの。

屋台の中
好きなものをお食べ

どれも美味しいんだけど、和牛サガリが特に絶品。

絶対に食べるべきでしょう。

最初はすいていた屋台も徐々に客が増えてきた。

はじめこそ席の間隔にゆとりがあったものの、人が増えるにつれ高まる密集度。

素人の俺は「もう満席じゃない?」と思った。

しかし「もう満席じゃない?」と思ってからが勝負なのだ。きっとそう。

だって店員さん、道ゆく人に向かって「あいてるよー!」とどんどん呼び込んでるもの。

屋台を拡張して無理やり席を作るが、端に座る何人かは屋台からはみ出す勢いだ。

はみ出せ!青春である(違う)

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ぎゅうぎゅうの客席。

俺の隣にはサラリーマン男性二人組が座っている。

酔いに任せて話しかけてみると、一人は京都から出張に来ていて、もう一人がアテンドしているとのこと。

コンタクトレンズを作る会社にお勤めらしい。

コンタクトレンズ……メニコン…か?

わからないが、会社についてはそれ以上詮索しなかった。

僕たちは北海道から来たんですよ

北海道、いいところですよね

京都もめちゃくちゃいいじゃないですか

などと当たり障りない会話から広がって、初対面のわりにけっこう盛り上がった気がする。

なんだろうこの感じ、嫌いじゃない。むしろ好き。むしろ好きだし、とても楽しかった。

知らない人と盛り上がって楽しく飲む。これが屋台の醍醐味なのだろう。

他のお客さんは2、3杯で帰っていくなか、我々はどっしりと根を下ろして飲んだ。

もはや普通の居酒屋感覚だ。回転率を下げて申し訳ない。

トイレがないのだけが不便だった。だいたい近くのコンビニと提携しているので、催した際は店員さんに聞いてみよう。

ともちゃんの場合は通りを渡った先のファミマがそれだ。

最終的にラーメンもやっつけてやったりして。

すっかり堪能しておあいそしてみると、料金は一人三千円くらいだった。

ともちゃん、かなりよかったぜ。ありがとう。

屋台「ともちゃん」
屋台「ともちゃん」

屋台のあとは締めのデザートを食べようってんで、甘味処を求めて天神サザン通りを歩く。

カラオケやゲーセン、ラウンドワンも、一通りのアミューズメントが揃った楽しそうな通りだ。

キャッチのお兄さんに声をかけられる。

お店には興味なかったが、そのお兄さんが息をのむほどの美少年で思わず足を止める。

年のころは20歳前後か。ジャニーズ事務所にも間違いなく受かるであろうキレイな顔立ちだった。

なんともはや。男の俺でも見ほれてしまうような、ずっと見ていられる本物のイケメン。

「お兄さん、かっこいいですね…キャッチしてないでジャニーズ行った方がいいよ」

思わず口をついたが、マジで余計なお世話だったと思う。

通りを突き当たった先にジェラート屋「ViTO」を発見。

注文してすぐ、尿意が襲ってきた。

店内にトイレはないようなので、ジェラートは受け取ってもらうよう同期に頼んでトイレ探しの旅へ。

すかさず付近のコンビニに入店。しかしここにもトイレはない。

他のコンビニを数件渡り歩くも、どこにもトイレはなかった。

え、トイレがないコンビニってあるんだ…。店員さんどうしてんの…?

頼みのコンビニがダメとわかった途端、一気に焦りが押し寄せる。

近年まれにみる尿意に、膀胱にもすっかり余裕がなくなってしまった。

いよいよもって限界が近い。一刻の猶予もない感じ。

いざとなったら立ち小便も辞さない覚悟で、適当な路地裏を探す。

軽犯罪だとわかっているけれど、それでも失いたくない人間の尊厳がある。

そんな気持ちとは裏腹、適当な路地裏が全然ない。

これは…マジのマジでやばいな…!?

半泣きでダッシュしながら、やっと見つけたカラオケに入店し、その勢いのままフロントを通り抜けてトイレへ駆け込んだ。

店側としては客以外の利用はお断りだし、よしんばトイレを借りるにしても許可を得るのが礼儀だろう。

そんなことはわかっているんです!いまは人間の尊厳がかかっているんです…!

おかげで何とか危機を脱しました。

カラオケ店さん、本当にすみません。ピンチ オブ ピンチを救っていただきありがとうございました。

事なきを得るという言葉、今の俺の状況のためにある言葉だなぁ。

そんなことを思いながらジェラート店に戻ってみると、俺のアイスはすっかり溶けてほぼ液状になっていた。

悲しいが仕方がない。おしっこ漏らすよりはだいぶマシ。

失意のジェラートを食べ終え、今宵行動を共にした同期とはお別れ。

次回、単独行動となった俺が向かった先とは…!?

第5話へつづく

福岡出張の話 第5話
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