世紀末バイトリーダー伝たけし

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職場への通勤途中にすき家があって、俺は1週間に1回は足を運ぶほど常連だ。

先週の木曜日も、残業帰りにすき家に寄らせてもらった。

カウンターのおばちゃんにキムチ牛丼を持ち帰りで注文。

支払いを済ませ「あちらに掛けてお待ちください」と言われて財布をカバンにしまった次の瞬間

 

「お待たせしましたー」

 

はやい。

最速記録が出た。

レジのやりとりが終わると同時に、奥のバイトが牛丼を完成させていたんだ。

おばちゃんが奥に向かって注文した様子はなかったので、バイトが耳をそばだてて注文を聞いていたか、レジを打ったら自動的に奥に注文が伝わるシステムになっているのかもしれない。

 

いずれにしろバイトの手際の良さたるや。あの店のバイトリーダーに違いない。

日本全国のすき家クルーが集って行われる「全国牛丼技術選手権」があれば8位くらいに入賞できるだろう。

 

俺も学生時代にバイトを色々やったけど、バイトを長く続けてると考えるところは結局

「いかに手際よく合理的に仕事をこなすか」

これに尽きる。

 

例えば俺がコンビニ店員をしていたときは、客が商品を出すと同時に、レジ打ちの順番や袋の大きさを瞬時に判断してスムーズに接客を終わらせることに心血を注いでいた。

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あとかわいい子にお釣りを渡すとき、さりげなく手に触れることにも勤しんでいた。

そんなある日、どヤンキーな見た目の兄ちゃんが客としてやってきた。

あーヤンキー来たなー。何だかやだなー怖いなー怖いなー。何も買わないで出て行ってくれないかなー。

俺の中の稲川淳二が怯えていたんだけど、願い虚しく俺のいるレジへ来てしまった。

こうなってしまってはとるべき道は一つ。

コンビニ店員五段の腕をいかんなく発揮して無難にさばくしかない。

 

しかし事件は起こった。

会計のときになって、突然ヤンキーがポケットから大量の小銭をカウンターに

 

ジャラジャラジャラー!!

 

と盛大にぶちまけた。目視する限り100枚くらいはあるだろう。

しかし俺はひるまなかった。きっぱりと言ってやったね。

「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条の規定によって、一度の買い物に使えるのは1種類の硬貨につき20枚までと決まっております」って。

 

 

嘘です。

あの状況でそんなこと言えるはずがあろうか。いや、ない。

 

俺は小銭数えマシーンと化した。

心を殺して小銭数え作業に徹していると、突然、ヤンキーが店内に響き渡る大音声で叫んだ。

 

 

「早くしろやごるぁぁぁ!!」

 

ひええぇぇぇぇ

お、怒られてる…

大人の男の人に怒られてるでー

「す、すいません…」と蚊の鳴くような声で謝罪をしてその場を収めたんだけど、今思い出しても腹立つわあ。

だってこっち悪くなくない?

クビを覚悟でシャイニングゴッドフィンガーくらわせてやればよかった。

 

大学時代にやっていたピザ配達のバイトでも怒られたことがあった。

店の駐車場から道路に出るとき、夕方の帰宅ラッシュ時なんかはすごい混んでいてなかなか出られない。

ここは誰かが入れてくれるのを待つしかない。

信号が青に変わって車が流れ出すが、目の前の車が動かない。

気付いてないのか入れてくれてるのか微妙だったんだけど、とにかく行くしかない!と思いびゅんと割り込んだ。

しばらく進んで赤信号で止まったら、後ろの車からヤンキーが降りてこちらに近づいてきた。

さっき俺が割り込んだ車ではないか。

やばい。

嫌な予感びんびん物語。

案の定、ヤンキーは俺が乗る車の窓ガラスコンコン物語。

「何でしょう?」

恐る恐る聞いたら

「てめぇ、自分が何したかわかってんのか?」

割と静かなテンションで、なのにしっかりとドスの効いた声で言い放った。

ひええぇぇぇぇ

静かなテンションで男の人に説教されてるでー

俺はひたすら謝った。

最後にヤンキーはおっかない声で「店の看板しょってる車なんだからよ、もうちょっと考えて運転しろやコラ」と言って立ち去った。

なんだよもう、気分悪いなぁ!俺がみそボンだったら奴が死ぬまで執拗に爆弾投げつけるのに!!

そのときは腹立ち紛れにそう思ったものですが、心の中ではちゃんとわかっていました。

ヤンキーの言い分が至極もっともなものであるということを。非は100%俺にあるのです。

何も言い返せなかった夏。

 

ガソリンスタンドでも結構長いことバイトしてたけど、あまり怒られた記憶がない。

代わりに面白かったエピソードを一つ。

あるとき、一緒に働いていたミサワ君が左ハンドルの外車を誘導した。

彼は左ハンドルと気付かず、スモークの貼ってある右側の助手席に向かって「いらっしゃいませ!レギュラーですか、ハイオクですか!?」と叫んだ。

窓ガラスが「ウィーン」と下がってそこに座っていたのは赤ちゃんだった。

ミサワ君の恥ずかしそうな顔は生涯忘れないでしょう。

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