僕ね、左腕に傷痕があるんです。
別にそれは生まれつきある竜の紋章とか、暴漢から女の子を助けるときにナイフが刺さってできた傷とかでは全然なくて、ただの火傷の痕なんですけどね。
それも聞いたら呆れるくらいのエピソードがあるんですよ。
1年前の8月、ライジングサンロックフェスティバルという野外フェスに参加した際の出来事。
テントサイトでバーベキューを楽しんでいたときに、コンロの下に置いてある物、まぁ肉のパックとかでしょうね。
それをつかんで腕をそのまま上げたらコンロの底に腕が一瞬触れて
「熱っ!!」
っとなったわけですが、これがもうびっくりするくらい熱くてね。
新発見なわけですよ。網の上で肉を焼くだけでなく、底の面で腕も焼けちゃうんですね。
もちろんすぐに腕を離したんですが、焼けた部分は白く変色していました。
ただ、痛みが全然ないんですよ。
あれ、これおかしいなと。
だってこれまでの経験上、火傷したときって信じられないくらい痛いですからね。
小さい頃、カップヌードルを食べようとして一口目で倒してしまい、中身をほぼ全部足の甲にぶちまけたときは痛すぎて狂ったように泣き叫んだもんです。
そのときは足の感覚が無くなるまでずっと流水で冷やし、巨大な水ぶくれになった後に綺麗に治りました。
ところが今回はどうでしょう。全然痛くないのです。
全然痛くないということは、それほど重症ではないのではないか、と無知な俺は思ってしまったのです。
それでも一応すぐに水で冷やした方がいいと思いましたし、時間があればそうしていたのでしょうが、そのときの俺にはその余裕がありませんでした。
なぜならレキシが出演する時間がすぐそこに迫っていたからです。
しかも彼らの出演するステージが遠いので、移動のことを考えると水で冷やしている時間なんぞありません。
「腕はきっと大丈夫!」と自分に言い聞かせ、「無いよりはマシ!」と患部に冷えピタを貼り、ステージへと急ぎました。
そして縄文土器と弥生土器のどっちが好きかを聞いてくる人たちのライブを堪能しました。
ちなみに冷えピタは火傷を冷やすには冷却度が全然足りなかったし、ライブ開始後早々に剥がれてきて早い段階でゴミとなりました。
その後もしばらく痛みは無かったんだけど、3、4日経った頃からだんだん患部が痛痒くなってきましてね。
ただ我慢できないほどではなかったので、これは治りかけている証拠、皮膚が頑張っている証拠だと思って皮膚の頑張りにエールを送る毎日だったのです。
でも調べてみてわかったんですよ。
真皮に達するほど深い火傷を負ったときはあまり痛みがないということが。
そしてそういった深い火傷を負った場合、適切な処置をしなければ痕が残りやすいということも。
しかしわかったときは火傷を負ってからすでに3週間ほど経過しており、心のどこかで「時間の経過とともに傷は薄くなって目立たなくなるはず」という根拠の無い希望的観測のもと、何の処置も施さずに放置する結果となり現在に至るのです。
傷痕はどうなったか。
最初に比べたらほんの少し薄くなったかなー程度です。
ここまでくるともう、この傷が一生消えないことは明らかですね。
これが本当の痕の祭りです。
これが本当の痕の祭りです。
これから一生、この傷を見るたびにあの大雨のRSRで犯した愚かな過ちを思い起こすことでしょう。
まぁ、言うてもわし男の子ですからね、そんなに恥ずかしくもないんですけど、傷痕なんて無いに越したことはないので今さらながら、本当に今さらながら薬でも塗ってみようかなと思っております。
今の時代、何の薬でもあるんですね。
特に小林製薬さんがすごいよね。
それ需要あるかなぁって心配になるくらい、色んな症状ごとに薬を発売しているからね。
あとネーミングセンスも素晴らしいよね。
さかむけをケアする「サカムケア」
耳鳴りを止める「ナリピタン」
じゃあ、傷痕を消す薬はなんでしょうか?
そう、もちろん「アトケース」だ…え?違う?
あ、あぁ、「アットノン」っていうの?
「アットノン」です。
今度買ってきて塗ってみよう。