牛丼フライアウェイ

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昨日の午前中、美容室に行ったんだよね。
髪を切り終わり、お昼ご飯に牛丼でも、と思いすき家に寄った。

東方面にある店舗で、家族全員の分をテイクアウト。
パパはねぎ玉牛丼お父さん
ママは高菜明太マヨ牛丼お母さん
子どもは牛丼ミニ赤ちゃん

メルペイフィーバーで500円分のポイントが返ってきて気分はルンルンだ。

牛丼を助手席に置いて出発、国道を走る。

しばらく走ると、道路左手の駐車場から国道へと出るべくタイミングを伺っている車が見えた。

「出てこないだろう」と決め付ける、いわゆる「だろう運転」はいけないとはよく言うが、

俺の車の位置と走行速度から考えると、相手の車は絶対に出てこないであろうタイミングだった。

いま出てきたら確実にぶつかる。こんな車にまで「出てくるかもしれない」なんて考えていられない。

ところが、だ。

出てきたんだ。

ゆーーーっくりと。

アンパンマンが俺の車だ

あぶっ!!!!!

咄嗟に急ブレーキ。

衝突は何とか回避できた。

いやいやいや!!

マジでありえねーぞこのタイミングで!この速度で!飛び出してくるのは!

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しかもだ。

出てきた車は2車線のうち右車線に出て行って、俺は左車線、出てきた車のやや後方を走っていたんだけど、ウインカーも出さずにゆっくり左側に寄ってきたのよ。

アンパンマンが俺の車だ

二度目の

あぶっ!!!!!

たまらずクラクション鳴らしたわ。

えっ、もしかして俺の車いま透明なの?マリオカートでいうところのテレサ状態?

だってそうでも考えないと説明がつかないだろ。

信号待ちで並んだからどんなヤツかと思って見たら…

まぁ半ば予想はできてたんだけど…

これでもかっていうくらいお爺さんだったんだよね。

見た感じ、齢90。

それくらいのヨボヨボ感。

まぁお爺さんならしょうがないか。

「お爺さんだから」という説明がついたわ。

そう思ってふと自分の車の助手席に目をやると、袋から飛び出した牛丼ミニが、フタがあいた状態で足元に落ちていた。

…え?なにごと…?

一瞬混乱したけど、すぐに理解が追いついた。

さっきの急ブレーキで牛丼がぶっ飛んだのだろう。

慣性の法則はどんなときもきっちり働く。

ご飯は見事に着地を決めて無事だったものの、上に乗っていたお肉は耐え切れずに床に飛び散っていた。

当然食えたもんじゃない。

おいジジイ!!!

うちの子どもの牛丼のお肉が天に召されたぞ!どうしてくれる!

ジジイ許すまじ!

怒りに打ち震えるものの、こんなときどうしたらいいか咄嗟にわからなかった。

降りて行ってジジイに文句言うか…?
しかしジジイも「はぁ…すみません」とか言って終わりか。
あとジジイに怒鳴り散らす姿、もし子どもが一緒に乗っていたとしたら見せたくない。

すき家に戻って新品に取り替えてもらう…?
いやいやいや、それこそ意味がわからんな。
すき家に何の瑕疵もない以上、応じてくれるわけもないだろう。

結局、俺が信号待ちの短い時間で混乱しながら取ったのは、

「お肉を拾い上げた両手を掲げ、窓越しにジジイに見せる」

という意味のわからない行動だった。

それもなるべく悲しそうな表情で。

せめて、ジジイの無理な運転のせいでこんな悲劇が起きたことを知ってほしかった。
そして次回からは細心の注意を払うよう啓発したかったんだと思う。

ちなみにジジイは全然こちらを見ていなかった (見てないんかい!)

ザ・ジジイカーは右折してそのままどこかへ消えて行った。

やり場のない怒りってこういうことを言うのだなと思った。
お肉を直に触ったせいで手が臭くなったのも怒りに拍車をかける。

走りながら何とか冷静さを取り戻し、考えることはひとつ。

子どもの牛丼どうしよう…

楽しみに待っている子どもに「牛丼の汁かけご飯」だけを持って帰るわけには行かない。

考えた末、西の方にある別の店舗で牛丼ミニだけ買った。

メルペイフィーバーで145ポイントついたけど、さっきより全然嬉しくなかった。

帰り道、牛丼の袋を固く縛ったことは言うまでもない。

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