はははのはなし

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10月から11月にかけて、歯医者に通院していました。
定期健診ってやつですわ。

健診の初回で絶対にされる、歯ぐきの検査がイヤなんですよね。
歯ぐきの隙間、いわゆる「歯周ポケット」に細い棒状のものを差し込むあれです。
歯ぐきという割と柔らかめの組織に細い棒状のものを差し込むとか、普通に考えてダメじゃないですか。なに考えてるんですか。
あの棒の先はどれくらい鋭いんでしょうか。見たことがないから想像するしかない。針みたいなのかな。怖いんですけど。

何が苦痛かって、チクチクとした地味な痛みがかなり長い時間続きますよね。
1本の歯につき表から3か所、裏から3か所。それを32本ぜんぶで行うわけですから、合計192回も刺されているんですね。
いま初めて計算してみて改めて思いました。多いな、と。なに考えてるんですか、と。
できればやめてほしいのですが、必要な検査だと思ってグッと我慢。

検査する人が結果を読み上げ、記入する人がそれを復唱していく。
「2ミリ」「2ミリ」
「3ミリ」「3ミリ」
「2ミリ」「2ミリ」
「4ミリ」「4ミリ」……

延々と続く検査に頭がおかしくなりそうだ。ここはミリミリ地獄か。
時おり聞こえる「5ミリ」の声にドキッとする。歯周病やん…
終わる頃には、歯茎からの出血により決まって口の中が血だらけになっている。歯周病やん…

面倒がってフロスをさぼると、てきめんに歯ぐきの状態が悪くなりますね。
歯ぐきは正直。ラッキーマンも言ってたもんなぁ、ラッキークッキー歯ぐきー!って。
寝る前のフロス、頑張ろう。

先生に診てもらったところ、幸いにも虫歯はありませんでした。
知覚過敏がひどいと相談したら、次回はその治療をしましょうということで初回は終了。

2回目の診療に訪れたとき。

診察室に呼ばれるのを待っていると、50歳くらいのおじさんが来院してきました。
平日の夕方にラフな格好で、髪ボサボサで現れたおじさん。サラリーマンではなさそうです。

おじさんは待合室のイスに座るなり、大きめの「ふぃー!」を発していました。

え、ため息?ひとり言?こわ…

すぐに立ち上がって洗面所に向かったおじさん、今度は洗口液で大きめの「ガラガラガラガラ…ペェーッ!!」です。

デリカシーのなさ、あまりにおじさんがすぎる。
こうなってくるともう、おじさんの人目をはばからない振る舞いに興味津々です。
次は何をしてくれるのか、いっときも目が離せない。

洗面所から戻ったおじさんはマガジンラックに向かいます。
待っている間に雑誌でも読もうという算段でしょう。

数ある雑誌の中から、おじさんが迷うことなく手に取ったのは『コロコロコミック』でした。
主に小学生を読者にもつ、分厚いマンガ雑誌。マジで1秒も迷う素振りがなかった。
ラックに近づきながらラインナップを吟味し、「俺はこれを読む!」と決めていたんでしょうね。それくらい迷いなき所作でした。

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それを見た瞬間、このおじさん絶対いい人だわと思いました。こわ…とか思ってごめん。

この日の治療は、知覚過敏を防ぐために歯の表面をコーティングするという内容でした。
なにを塗られたのかはわかりませんが、歯が強くなった気がして大変満足です。
アイスはおろか、みかんを食べるときですら感じていたあの痛み、和らぐといいのですが。

治療が終わると、コロコロおじさんが会計に呼ばれていた。

「今日は1,500円です」

おっ、安いねおじさん。ぼくもそれくらいの金額だといいな。

少ししてぼくも会計に呼ばれる。

「今回は6,300円です」

え高っ!ちょっと待って?高っ!!高くない?
歯のコーティングに金でも塗られた?それにしては安いか。
内心の「高くないですか?なにかの間違いでは?」はおくびにも出さず、余裕の表情で会計を済ませる。それがおとなだ。

ちょっとびっくりしたけど、今から歯を大事にすることで病気の予防につながり、ひいては将来の医療費を節約することにもなる。

そう思えば、むしろ安くすんでラッキークッキー歯ぐきー!

自分に言い聞かせて平静を保ちながら歯医者をあとにしました。

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