他人がみた夢の話ほどつまらない話はない
などとよく言われますよね。
話し手は内容を必死に伝えようとするんだけど、聞き手にとってはそれほど面白く感じないという。
なぜこれほどまでに温度差が生じるのでしょうか。
人は人の話に耳を傾けるとき、そこから何かを感じ取ろうとしますが、夢の話の場合は意味やメッセージなどないことがほとんどだからでしょうか。
示唆に富んだエピソードだったり、教訓を得られる体験談とは違って、何も得るものがないただの空想話を聞かされるようなもの。
リアリティのある夢であれ、荒唐無稽な展開の夢であれ、どんなストーリーも自由自在。場合によっては話を盛り上げるための嘘も盛り込み放題。そしてそれを検証する術はない。
実際にぼくがこの間みた「中学校のときの後輩が開いたバーに飲みにいったら180万円請求された夢」などは、自分としてはマジで怖かったんですよね。
初めて行ったお店。そんなにたくさん飲んだわけでも、高級なお酒を飲んだつもりもなかったんですけど、請求額が180万円でした。
冗談と思いますよね。後輩だし。180万円は突き抜けすぎですし。軽自動車が買えますし。
でも目が全然笑ってないんですよ。
そこで気付きます。
(あぁ、こりゃぼったくりバーってやつだな。先輩でもおかまいなしかよ。てか180万て。いくらなんでも)
マジで払えるわけがないので逃走を試みるんですけど、それを見透かした後輩が笑顔のまま言いました。
「先輩、逃げようなんて思わない方がいいですよ。ハットリはきれると人殺しちゃうかもしれません」
(え、ハットリ?ハットリくん?忍者の?)
出口を見やると、用心棒らしきでっかいフランケンシュタインがいるんですよ(正確にはフランケンシュタイン博士が生み出した怪物)。
(いやフランケンシュタインおんのかい!フランケンの名前ハットリなんかい!)
そんなつっこみ入れる余裕がないほど怖い。なんせ顔は怪物だし、遠目で見てもでかい。2メートルはありそうです。
(あんなやつに捕まったら素手で体を引き裂かれるんじゃ…いったいどうしたら…?)
(しかし待てよ、巨体キャラは総じて移動スピードが遅い傾向にあるぞ。ザンギエフとか)
ハットリがこちらに向かって動き出すと、その歩みはザンギエフよりも遅いゾンビのようなものでした。
(奴がたどり着くまでに、ここから脱出できそうな場所はないか…)
そうして自分とハットリの間に窓を見つけたぼくは、捕まって死ぬよりはマシ!と迷わずその窓に飛び込みました。
窓をぶち破るときの定番【 腕クロス + 両膝曲げ 】のポーズで。
終わりです。ここで目が覚めました。
ぼくとしては、そのときに感じた恐怖を、起きたあとに心底「夢でよかった~」と思ったところも含めて伝えたいんです。
一方でこれを聞かされたみなさんはどうでしょうか。
困りますよね、リアクション。
ほしいですよね、話のオチ。
「はぁ。まぁ、あなたが勝手にみた夢ですからね」以外の感想が出てこないですよね。
また別の日には「大学生のときに好きだった人と数年ぶりに再会した夢」をみました。
街で偶然再会したその人は、好きな人にフラれたばかりで相当傷ついていました。
そこでぼくは彼女の傷を癒すべく1日中彼女に寄り添い、もちろんフラれたばかりの心の傷に付け入るようなこともせず、ただただ慰め続けたのです。
そうして1日の終わりに彼女に「今日は本当にありがとう」と言われる。
たったこれだけの夢ですが、目覚めたとき思いましたよね。
「エモーっ!」
って。
起きてるときには感じたことのない「エモい」という感覚を夢で初めて知りました。
あぁ、これがエモいというやつか、なかなか心地いいなぁ。
余韻に浸りながら二度寝したところ、今度は「AV女優の巨乳を揉む夢」をみました。
さっきまでエモい夢はなかなかいいなと思っていたのですが、断然エロい夢の方がいいと思いました。
エモい夢よりエロい夢。
全然おもしろくなくてかまわない。毎日これでお願いします。