がんばれおじさんゴシゴシ道中|僕が心配している理由

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昨日、仕事帰りの道で、歯磨きをしながら歩いている人とすれ違った。
夕暮れ近い歩道を、一心不乱に手を動かしながら歩いてくるおじさん。口のまわりには白い泡が飛び散っている。
人生で初めて見る信じがたい光景に内心ぎょっとしたが、平静を装ってすれ違う。

すれ違いざまに顔をよく見ると、目が血走っていて怖かった。

幻でも見たのかと思ったが、なんと今日も同じシーンにでくわした。
2日連続となると幻ではすまされない。
ブログに書かずにはおられなんだ。

彼が歯磨きをしながら外を歩かなければならない理由はなんだろう。

家の中で歯を磨くことに突然飽きたのだろうか。
これまで何千何万、ただ漫然と歯磨きをこなしてきたある日、彼は天啓のようにひらめいた。
なにも「歯磨きは家の中でしなければならない」という決まりなどないではないか。
気分転換に外で歯磨きをしたっていい。
それまでの固定概念をうち破り、外へ出た。歯ブラシを片手に。
毎日がアウトドア。これからの歯磨きは、彼にとってきっと楽しいものになるだろう。

あるいは、これから工場での夜勤へ向かうところかもしれない。
労働に備えて昼寝を決め込んでいたら、思わず寝過ごしてしまった。
このままでは遅刻してしまう。
これまでも幾度となく遅刻を繰り返していた彼は、工場長に「次に遅刻したら時給50円下げるからな」と釘をさされている。
最悪の事態だ。それだけは避けなければならない。

あわてて最低限の身支度をすませるが、どうにも歯磨きをする時間だけはない。
そこで苦肉の策として、道中での歯磨きを編み出したというわけだ。
目が血走っていたのも、焦りからくるものと考えればうなずける。

最初のうちこそ外で磨くのが恥ずかしかったが、少しの恥と時給を天秤にかけてみるとどうでもよくなった。
こうして、いつしか歯磨きの時間は身支度の時間に算入されなくなった。
そのぶん時間に余裕をもって出発すればいいものを、昼寝の時間が少し長くなってしまうだけで、結局家を出るのはギリギリだ。

人は愚かなものです。

もちろんこれは想像でしかない。なにが正解かはわからない。
彼には彼の、のっぴきならない事情があるのだろう。

ただこれだけはどうしても言わせてほしい。

歯磨きをしながら歩くと、転んだとき喉にささって危ないよ!!!

※めちゃくちゃ名作なので全員気付いたことと思うが、記事のタイトルはスーパーファミコンソフト「がんばれゴエモンきらきら道中~僕がダンサーになった理由~」にかかっている。

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